ブランディングに強いコーポレートサイトを作るには

企業におけるコーポレートサイトは、顧客となるユーザに対する自社の事業やサービスのアピールの他にも投資家や取引先・協業先への情報発信の役割もあり、企業ブランディングによる印象付けのツールとして最も重要な役割を占めています。
今回はどのようにコーポレートサイトを作って行くことで、ブランディング強化を図れるか、自分なりの経験と考えをまとめていこうと思います。
ブランディングに失敗するコーポレートサイトの問題
様々な企業のコーポレートサイト制作に携わらせてもらうと、企業が抱えやすい問題点が見えてきます。
問題点1:ミッション・ビジョン・バリューの形骸化
ブランディングにおいて最も重要なのは、企業や事業の軸となる「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の確かさです。
これらは企業や事業が進むべき方向を示す指針の役割になりますので、ここが抽象的であったり、なんとなくそれっぽい言葉を掲げただけのような場合、往々にして全体の事業や提供するサービスの方向性がバラバラのケースが多いです。
コーポレートサイトを作る前に、まずは軸となる「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を定めることが重要になります。
問題点2:事業の優先順位が曖昧
次に事業の優先順位が曖昧な場合もコーポレートサイトのブランディングが効きにくくなります。
これは「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の延長線上にある問題だと思っていて、進むべき方向性が曖昧になっているがゆえに四方八方に事業の手が伸び、会社としてどの方向に進むべきなのか、対外的に何を一番アピールしたいのかが曖昧になってしまいます。
様々な需要に応え、利益の拡大を図ること自体は問題ありませんが、どの事業が自社にとって一番重要なのかはしっかりと把握しておく必要があります。
問題点3:ターゲット層について突き詰めて考えられていない
長い年月をかけて企業が成長すると、時流に合わせた事業展開をするケースはよくあります。
その中で次第に、会社や事業としてどういうターゲット層を狙っており、そのターゲット層に属するユーザはどういう性質で何を求めているかなどの理解が曖昧になってしまう(突き詰めて考えることをしなくなる)ことがあります。
「誰に」「何を」を突き詰めて考えないコーポレートサイトは、非常に抽象的で雰囲気だけのそれっぽいサイトになりがちです。
まずは、主要事業のターゲット層はどこで、その層にはどういうユーザがいて、何を求めているかをしっかりと言語化し、具体的に把握しておくことが重要です。
コーポレートサイトでのブランディング成功には情報設計が重要
コーポレートサイトでブランディングを成功させていくには、カッコイイ・可愛い・スタイリッシュなデザインは重要ではありません。
最も重要なのは、情報設計です。
ひとえに情報設計と言っても、様々な情報をきちんと考え、ときには仮説を立てながら設計していくこととなります。考えるべき情報設計についてご紹介していきます。
発信する情報の設計
ブランディングをするにあたり、「何をアピールするか」は必ず必要になってきます。
アピールすることがなかったり、曖昧であるとどんなに長い文章を書いても「結局何が言いたいの?」と思われてしまいます。
まずは、会社や事業としての指針を具体化し、顧客や投資家などのサイトを利用するユーザに対して、何を伝えたいかを具体化しましょう。
ここでも先ほど問題点で上げたように、優先順位が重要になります。
例えば5種類の事業を扱っているとして、全てで利益を出したいという思いから全て同列で発信すること、結局伝えたいことがバラバラになってしまい、全体で利益が縮小する恐れすらあります。
伝えたいことの優先順位を明確に設計し、ブレない情報発信の軸を作りましょう。
受け手(ユーザ)像の設計
企業としてのコーポレートサイトの目的は様々ですが、ざっくりと抽象化すると、最終的には自社の利益に繋がる行動へと誘導したいという考えがあると思います。
その目的を達成するために、企業はコーポレートサイトやSNSなどの手段で情報の発信を行います。
発信された情報を受け手(ユーザ)がキャッチし、興味があれば企業の意図通りに商品の購入やサービスの利用などの行動へ移ります。
このときに情報発信する企業側として注意すべきことは、自分たちが発信したい情報が必ずしもユーザが求める情報と合致しないという点です。
この点を理解せずに自分たちが発信したい情報だけを発信し続けても、ユーザに届かない、キャッチされないという問題にぶつかります。
コーポレートサイトなどで情報発信を行う前に、まずは自分たちが目標とする情報の受け手(ユーザ)がどういう人たちで何を求めているかをしっかりと考える必要があります。
最初は経験やデータから考えられる仮説で全く問題ありません。
自分たちが発信したい情報とユーザが求めている情報を可能な限り合致させる意識を持った中で情報設計を行うことが重要です。
ユーザの気持ち(モチベーション)を意識した導線設計
ユーザにコーポレートサイトを見てもらって、最終的にどういう行動を取ってほしいかというゴールが定まると、次にそのゴールまで導くためにどういう導線にすべきかを考えることになります。
そのときに考えるべきはユーザの気持ち(モチベーション)です。
・コーポレートサイトにアクセスしてきたときはどういう気持ちなのか、何を求めているのか
・一番最初に見たい、知りたい情報は何か
・どういう提案がささるか
など、段階ごとのユーザの気持ちに対して仮説立てながら導線やコンテンツ配置の設計を行っていくことで、理に適った導線設計を行っていくことができます。
ここでも重要になるのは、自分たちがどうしたいかということよりもユーザがどうしたいかというユーザファーストの観点になります。
見積り相談や問い合わせボタンをファーストビューに設置したところで、ユーザが「相談したい、問い合わせしたい」という気持ちになることはありません。
ユーザが求める情報発信を行い、「相談したい、問い合わせしたい」という気持ちが芽生えてきたであろう段階で見積り相談や問い合わせボタンを表示し、高いモチベーションのまま次のフェーズへと進めるようコントロールするのが理想となります。
サイトデザイン設計
前段の各設計がきちんとした後となりますが、サイトデザインもブランディングに欠かせない重要な要素となります。
これはシンプルな話で、会社としてユーザに与えたい印象をコーポレートサイトを通して伝えるとき、サイトの雰囲気を含めたサイトデザインが最も自然かつユーザの潜在的意識に働きかけることができる手段となります。
ただ、注意してもらいたい点は「カッコイイ」「可愛い」「スタイリッシュ」のようなデザインであることは本質ではありません。
「ミッション」「ビジョン」「バリュー」で定めた会社としての根幹を表現すること、ターゲットとなる層にささることが本質となります。
「カッコイイ」「可愛い」「スタイリッシュ」なデザインだから良いではなく、会社イメージをしっかりと表現するための手段として「カッコイイ」「可愛い」「スタイリッシュ」なデザインを活用していくということを忘れてはいけないと思います。
まとめ
ということで、今までに様々なクライアント様のコーポレートサイト制作に携わってきた経験から、うまくいっていないコーポレートサイトの問題点と、コーポレートサイトでのブランディングを行っていくために何が重要なのかを自分なりの考えでまとめていきました。
コーポレートサイトは企業の魅力やこれから目指していく方向性を表現するために重要なツールです。
なんとなく運用するだけでは意味がなく、きちんとした目的意識や方針を持ち、自社と自社事業、自分たちがターゲットとするユーザをしっかりと考えつくし、的確な情報設計を行った上で制作運用する必要があります。
コーポレートサイトでのブランディングを成功させるカギは「設計」にあると考えています。
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