国産ヘッドレスCMS「Newt」からのCMS移行 - コーポレートサイトで安心して使えるCMS選びとおすすめのCMSを厳選

国産ヘッドレスCMSとして注目を集めていた「Newt」のサービス終了は、多くのWeb担当者にとって衝撃だったのではないでしょうか。利用中だった企業はもちろん、これからCMSの導入を検討している方にとっても、「また同じことが起こるのでは?」という不安を感じるかもしれません。
本記事では、「Newt」のサービス終了を機に、CMS選びで失敗しないための重要なポイントと、安心して長く使えるおすすめのCMSを厳選してご紹介します。
利用するCMSサービスが終了すると何が困るのか?
今回の「Newt」のように、自分たちで利用しているCMSサービスが終了すると、どのようなリスクがあるのか事前に理解しておくことは重要です。
まずは、いくつか考えられるCMSサービス終了のリスクをご紹介していきます。
今までのコンテンツデータが使えなくなる恐れがある
最も大きな問題は、これまで蓄積してきたコンテンツデータが使えなくなる可能性があることです。
「Newt」のようにSaaS型のCMSの場合、データはサービス提供者のサーバーに保存されています。
サービス終了とともにデータが削除されると、それまで制作してきた記事や画像、設定情報などが全て失われ、一から作り直さなければなりません。
これは時間、労力、コストにおいて非常に大きな損失となります。
「Newt」のように運営がきちんとサポートしているサービスについては、今回のように余裕をもって情報が発信され、データのエクスポート手順についても案内されるので全てのデータが失われることはありませんが、そうでない場合や、自分たちが運悪くサービス終了の案内を見過ごしてしまった場合、コンテンツデータの抽出を行えず、いちから作り直しという悲劇に見舞われる可能性もゼロではありません。
Webサイトが閲覧できなくなるリスク
「Newt」のようにCMS部分が切り離されている設計のヘッドレスCMSでは、Webサイトが完全に閲覧できなくなるということはありませんが、サイトの全体をまとめて提供しているタイプのSaaS型CMSサービスは全てをそのサービスに依存する形になります。
その場合、サービス終了に伴ってサイト自体が完全に利用できなくなってしまうリスクがあり、イチからサイトの作り直しを行わなければならないなどの緊急の対応が発生することになります。
もしコーポレートサイトやECサイトなど、ビジネスに直結するタイプのサイトですとビジネス機会の損失や企業イメージの低下に直結することとなりますので、利用するCMSサービスが使えなくなったときや何らかの障害が発生したときのことを考えたCMS選定が大切になってきます。
緊急の移行作業が発生する
サービス終了の告知から実際の停止までには猶予期間が設けられますが、それでも短期間での移行作業は大きな負担です。新しいCMSの選定、環境構築、データ移行、サイトのリニューアルなど、本来の業務を圧迫しながら緊急で対応せざるを得なくなります。
また、基本的にCMS間で互換性があるケースはないので、「簡単にデータ移行できるだろ」と軽く考えていると思いのほかそうではなく、痛い目を見ることも少なくありません。
もし新しいCMSへの移行を検討しているようであれば、あらかじめ余裕をもったスケジュールで移行先の検討を始める方がいいかと思います。
CMS選びで重要なポイント
このような事態を避けるためにも、CMS選びは慎重に行う必要があります。以下のポイントを重視して選定しましょう。
シェア率の高さと情報量の多さ
シェア率が高いCMSは、それだけ多くの企業や開発者が利用しているため、情報が豊富にあります。
困った際に解決策を見つけやすかったり、ノウハウ記事やテンプレートが充実していたりするため、運用がスムーズになります。
また、シェア率が高ければ高いほど、サービスとしての安定性や持続性も高まってきますので、突然のサービス終了となるリスクを抑えることができると思います。
コンテンツデータの保存場所と移行のしやすさ
コンテンツデータがどこに保存されるのか、そして、万が一の際にデータをエクスポート(出力)できるのかは非常に重要です。特定のフォーマットでしか出力できない、あるいは全く出力できないCMSは避けるべきです。
汎用性の高い形式(CSV、JSONなど)でデータを出力できるか、あるいはデータ移行ツールが提供されているかを確認しましょう。
「Newt」のようなSaaS型のCMSサービスですと、コンテンツデータの保管場所はサービス提供会社のデータベースになりますので、万が一サービスが急遽終了となった場合に自分たちのコンテンツデータを引き出せなくなる可能性があります。
この点、WordPressなどのオープンソース型のCMSであれば、全てのデータは自己管理するデータベースに保存されることとなりますので、何らかのトラブルに見舞われた場合でもデータベースにさえアクセスできれば、元データを取得することは可能になります。
拡張性と柔軟性
ビジネスの成長に合わせて機能を追加できる拡張性や、デザインや表示方法を自由にカスタマイズできる柔軟性も重要です。
将来的な機能追加やリニューアルを考慮し、拡張しやすいCMSを選びましょう。
CMS切り替えのご相談を頂くケースとして、「現行のCMSだと機能の拡張が難しいので、自由に機能追加できるWordPressに移行したい」というお話がよくあります。
ページの作りやすさや話題性でCMSを選んだものの、数年運用する中でビジネスの展開に合わせたコーポレートサイトの拡張に対応できず不便を感じる方も少なくありません。
CMS選定においては、将来的な機能拡張にも対応できるかどうかを検討材料とすることも重要です。
サポート体制
トラブル発生時や不明点があった際に、適切なサポートが受けられるかどうかも確認が必要です。
公式ドキュメントの充実度、コミュニティサポート、有償サポートの有無などを確認しましょう。
また、自分たちのサイト特有の問題などは公式のサポートでは対応できないケースも少なくありません。
しっかりと自分たちのサイトの仕組みを理解し、トラブルが発生したときも早急に対応できるよう制作会社などと保守契約を結ぶこともCMSを利用したサイト運用を行う上で重要なポイントとなります。
様々なCMSの種類
CMSは大きく分けて、「フルスタックCMS」と「ヘッドレスCMS」の2種類があります。
それぞれの特徴を説明していきます。
フルスタックCMS
主なCMS – 「WordPress」「Movable Type」「STUDIO」「Wix」
フルスタックCMSとは、コンテンツ管理からWebサイトの表示までをワンストップで提供するタイプのCMSです。
環境の用意を行えば、管理画面だけではなく一般公開されるサイト本体まで用意されるのが、フルスタックCMSです。
特にWordPressの歴史は非常に長く、20年以上も前からインターネットの成長とともにそのシェアを拡大し、今では世界一使われるCMSにまでなっています。
フルスタックCMSのメリットとしては、用意するものが少なかったり環境の用意がシンプルであったりと、手軽にスタートできるのでWeb制作のプロだけでなく、自分で事業用のサイトを作りたいという方でも始められるようなものが多いです。
ヘッドレスCMS
主なCMS – 「Strapi」「Contentful」「microCMS」「Newt」「Kuroco」など
もう一つがヘッドレスCMSです。
ヘッドレスCMSは、比較的新しい技術(API)を用いられたCMSで、先ほど紹介したフルスタックCMSとは違い、コンテンツを管理する機能のみを切り出したCMSです。
フルスタックCMSとは違い、一般公開されるサイト本体はもたないため、サイト自体は別に用意する必要があります。
こう聞くと「サイトは別に作らなきゃいけないなんて手間じゃん」と思うかもしれません。
実際そうではあるんですが、逆を言うと既存のサイトにもCMS導入が可能だということになります。
ヘッドレスCMSの最大のメリットは導入の柔軟性であり、既存のサイトからのコンテンツ呼び出しが可能なだけではなく、別のサイトやアプリなどとの連携も可能になりますので、一つのCMSを使って複数の環境に情報発信を行うという仕組みを作ることも可能になります。
おすすめのCMS紹介
上記のポイントを踏まえ、コーポレートサイトを運営する上で安心して長く使えるおすすめのCMSを厳選してご紹介します。
WordPress
公式サイト:https://ja.wordpress.org/
特徴
世界中のWebサイトの43%以上で使用されているWordPressは、その圧倒的なシェア率と豊富な情報量が最大の強みです。ブログからコーポレートサイト、ECサイトまで、あらゆる種類のWebサイトに対応できます。
おすすめポイント
- 圧倒的な情報量とコミュニティ: 困った時に解決策が見つかりやすく、日本語の情報も豊富です。
- 豊富なプラグインとテーマ: 必要な機能はプラグインで追加でき、デザインもテーマで簡単に変更できます。
- 高い自由度: PHPの知識があれば、自由にカスタマイズ可能です。
- データ移行の柔軟性: データベースのバックアップや形式指定したファイル出力はプラグインで柔軟に対応が可能です。
こんな企業におすすめ
- お知らせなどの更新を自社でやりたい
- 制作費用を抑えつつ、将来的な機能追加にも対応できるようにしたい
STUDIO
公式サイト:https://studio.design/ja
特徴
STUDIOは、プログラミング知識なしでデザイン性の高いWebサイトを構築できる国産のノーコードWebサイトビルダーです。デザインツールのような直感的な操作で、細かいレイアウトやアニメーションまで自由自在に表現できる点が特徴です。サイトのホスティングやSSL化も含まれているため、公開までが非常にスムーズです。
おすすめポイント
- デザインの自由度が非常に高い: 直感的なUIで、CSSを記述するようにレイアウトを調整できるため、既存のテンプレートにとらわれずに独自のブランドイメージを表現できます。
- ノーコードで開発・運用が可能: プログラミング知識が不要なので、Webデザイナーやマーケター自身がサイト制作・更新を行えます。
- 公開までがスピーディー: ホスティング、SSL化、CDNが標準搭載されており、デザインが完成すればすぐに公開できます。
- 国産サービスならではの安心感: 日本語のサポートやドキュメントが充実しており、安心して利用できます。
こんな企業におすすめ
- 自分たちでも簡単にサイトのレイアウトを調整したい
- スタートアップや中小企業で、コストを抑えつつ高品質なサイトを立ち上げたい
- 将来的な機能拡張は考えていないので、簡単に作れる方がいい
microCMS
公式サイト:https://microcms.io/
特徴
microCMSは、日本国内で高い人気を誇るSaaS型ヘッドレスCMSです。
ヘッドレスCMSとして洗練されたシステムデザインをされており、シンプルな導入と機能拡張性が魅力的です。
また、利用料金もシンプルでアクセス具合によって左右されにくいことから、Newtからの移行を検討する場合は移行先としても有力な選択肢の一つです。
おすすめポイント
- 国産サービスならではの安心感: 全てのドキュメントやサポートが日本語で提供されており、困った時にすぐに相談できる体制が整っています。
- シンプルで使いやすい管理画面: コンテンツモデルの定義からコンテンツの入力まで、非エンジニアでも直感的に操作できます。
- 高速なAPI: 開発者にとって使いやすいREST APIとGraphQL APIを提供しており、サイト表示の高速化に貢献します。
- 柔軟な料金プラン: 無料プランから大規模向けプランまで、幅広いニーズに対応できる料金体系が用意されています。
- 充実した機能: 画像最適化、WebHook、プレビュー機能など、ヘッドレスCMSに必要な機能が網羅されています。
こんな企業におすすめ
- Newtからの移行先を探しており、国産のヘッドレスCMSを希望する企業
- 開発者とコンテンツ担当者が連携して効率的にサイトを運用したい企業
- 高速なWebサイトを構築したい企業
- 手厚い日本語サポートを受けたい企業
Strapi
公式サイト:https://strapi.io/
特徴
StrapiはヘッドレスCMSでありながら、オープンソース型であるためコンテンツデータの管理を自身のデータベースでおこなることが最大の特徴です。
「ヘッドレスCMSを使いたいけど、SaaS型のサービスは使いたくない」という方には最適のヘッドレスCMSです。
導入における技術的ハードルは高いものの、導入後の運用面の安定感は他にないものがあり、専門の保守担当者を確保できればNewtからStrapiへの移行を視野にいれるのもありだと思います。
おすすめポイント
- 高いカスタマイズ性: APIを自由に設計・拡張できるため、複雑な要件にも対応しやすいです。
- 自社管理が可能: オープンソースなので、自社サーバーに構築すればベンダーロックインのリスクを最小限に抑えられます。
- 豊富なプラグイン: 認証機能やメディアライブラリなど、必要な機能をプラグインで追加できます。
- モダンな開発環境との親和性: ReactやVue.js、Next.jsなどのモダンなフロントエンドフレームワークとの相性が抜群です。
こんな企業におすすめ
- ヘッドレスCMSのメリットを享受しつつ、ベンダーロックインのリスクを避けたい企業
- 開発リソースがあり、自社でCMSを管理・運用できる企業
- フロントエンドにモダンな技術を採用したい企業
まとめ
「Newt」のサービス終了は、CMS選びの重要性を改めて認識するきっかけとなりました。
CMSはWebサイトの心臓部であり、一度導入すると移行が容易ではないため、長期的な視点での選定が不可欠です。
CMS選定では、今回ご紹介したようなシェア率やサービスの持続性、サポート体制やそれぞれのCMSの特徴をしっかりと比較し、自分たちにあったものを選んでいくことが必要になってきます。
「どのCMSを選んでいいかわからない」、「既存CMSからのデータ移行できるのか」など自分たちでは解決できないことがあれば、制作会社などに相談し、プロの意見を取り入れて検討することも大事です。
株式会社Neightbor.ではCMS導入を徹底サポートいたします
株式会社Neightbor.では、既存CMSから新しいCMSへの移行や選定、または新しくCMS導入を行いたいというご要望もサポートさせて頂きます。
既存のコーポレートサイトへの導入や新しくCMSを導入し、自社運用可能な仕組みを取り入れたいなど様々なご要望に適したご提案をさせて頂きます。
まずはご相談程度にお気軽にお問い合わせください。
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